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ポロが突然逝ってしまった! [生活]

2008年5月4日(日)その2

今夜は、8時から上田さん宅で、テレビドラマ篤姫を見ることになっている。
でも、いつもと違い、買い物などで、夕食が遅れた。
僕は買い物から帰ると、ポロのところに行き、ポロと戯れた。
片時も僕から離れたくないようすのポロを見ていると
愛おしさがこみ上げてくる。
元気になったので、今度の休業日には、シャンプーをしてやろうと思った。
月曜日なら、毎週一日付き合ってやれると思うので
明日からは、フィラリアをやっつけるために、薬を飲ませようと決意した。

「お前となら、一緒に死ぬようなことになってもかまわん」という妄想さえ
浮かんできた。
ポロと一緒なら、野辺に野垂れ死にしても幸せに思えてきて、そんな自分にびっくりした。

ポロは、全身マッサージが大好きである。
ブラシで抜け毛をすいてやってから、全身マッサージをしてやった。
僕の足を枕にポロはごろんと僕の前に寝転んで気持ちよさそうである。
足をさすれば、足を延ばすし、お腹をさすれば、両前足をまげて、仰向けになる。
瞼を半分閉じて、大きな口を開け、長い舌をだら~~んとさせる。
その様はまさに「気持ちいい~~~~!」ってうっとりしているようである。

マッサージを止めて、立ち上がろうとすると
前足を僕の手に引っかけて、自分の方へ引き寄せる。
「もっとして!」とせがんでいるのだ。
で、又、座り込んでマッサージをしてやると、例のようにうっとりしている。
妻が、早くしないと間に合わないよと、夕食に誘うので、
ポロのひもを外し、自由にしてやった。

今日は一日、繋いでいたので、喜んで走り出すかと思ったら
立ち去ろうとしている僕を、座ったまま見つめていた。
僕は、手を振って、「またね」といって、夕食の席に付いた。

食事を始めた頃、ウエルカムロードで車の急ブレーキの音がした。
暗闇のウエルカムロードに1台の車が入ってきて、Uターンしているようである。
「また、腹をすかせた人か?」と僕らは、話し合った。
食事の後、妻は、ポロの夕食を作ったので、僕が裏庭にもって行きポロを呼んだ。
でも、ポロの姿はなかった。
見回りで忙しいのだろうと思って、そのまま夕食を置いた。
僕らはポロが僕らの姿を見つけて、追っかけてこないように
上田さん宅へ急いだ。

上田さん宅の玄関まで来たとき、僕は何か胸騒ぎを覚えた。
ポロに何か異変が襲ったのかもしれないという不安である。
篤姫を見ている間中も、なにかテレビに集中できなかった。
篤姫が終わると早々にkazeに引き返した。

裏庭に行ってみると、夕食は手付かずのままだった。
妻も含めて、現実的な不安が僕らを襲った。
二人でライトを照らし、ポロを呼びながら、探し回ったけど、
ポロの姿も気配もない。

僕らは、もしかしてと、ウエルカムロードを上がり、国道に出た。
その時、僕のライトの光りの中にうずくまるように横たわっているポロの姿が浮かんだ。
「ポロ!」と叫んでみたが、身動きひとつしない。
道路に血のあとが、転々とあった。
車のパーツが道の脇に落ちていた。

僕の頭は、真っ白になった!
「ポロ!どうしたん!」と妻は泣き声で叫んだ。
僕は、ひざまずいて、ポロの体を触った。
ポロは、もう息絶えていた。
目をうっすら開けていたが、瞳孔はすでに生気を失って、にごっていた。
僕は、ポロの瞼を閉じてやった。
4本の足は、傷つき、無残に折れ曲がっていたが、顔だけは、無傷で
まるで眠っているようだった。
妻はたったまま、ポロの名を呼び、泣いていた。
僕はといえば、涙のひとつもなく、ただただ、夕食前にポロにした
マッサージと同じように、ポロの体をさすり続けた。

フト我に帰った僕は、妻に駐在さんに電話して、
どうすれば良いのか聞いてくるように頼んだ。
妻はkazeに引き返して行った。

僕は、真っ暗な国道の端で、右手でライトを国道を照らし、
左手でポロをさすり続けていた。
走り抜ける車の中には、スピードを緩めて、眺めていく者もいた。
真っ暗な人家も見えない国道のすみに人がライトを片手に座り込んでいれば
何事かと思うのも、至極当たり前のことだろうが、
僕はポロが、再び車にひかれないように
と思って、ライトを運転者が直ぐわかるように照らしていたのだ。

足音がして、妻が帰ってきた。
妻は、一輪車を押していた。
「どうだった?」と聞くと
「死んだ動物は、生ゴミ処理となるけど、連休だから回収に来るのは7日なるらしい。
こちらで埋葬しても良いかと聞いたら、かまわないということだった。
ポロを生ゴミなんかにしない!」と妻は決然と言った。

僕は、ポロを抱き上げた。ポロの口から、血がどっと流れ出た。
きっと内臓が破裂しているのだと思った。
一輪車のダンボールの上に、ポロを横たえ、僕が一輪車を押し、妻がライトを照らし
Kazeに帰った。

妻は、我がkazeの裏の畑に埋めようといったが、僕は3年前自分で植えた
イチョウの木の根元に埋めたいというと妻も承諾した。
僕は、ツルハシとスコップ2つを運んで、
ライトの明かりの中で、まずツルハシで穴を掘り始めた。
妻は、もうひとつのライトを取って来るけど他にないかというので、
水が飲みたいといった。
のどがカラカラである。

妻はライトとコップにお茶を入れて持ってきた。
ライトはイチョウの枝の間に挟んだ。
大きな石をツルハシで掘り出し、後は妻とスコップで掘っていく。

その時になって、僕は突然、悲しみの大津波に襲われた。
どっと涙が噴出してきて、掘っている穴の中にポタポタと落ち、嗚咽が止まらない。
妻も、同じように、泣いていた。

僕らは、泣きながら穴を深く掘った。
それから、僕がポロをダンボールごと抱き上げて、そっと穴に下ろし、寝かせた。
ポロの体も僕の涙が流れた。

妻は、側に咲いていた黄色の可憐な花、ウマノアシガタを手折り、
ポロの顔の前に供えた。
僕は、ポロが小屋で敷いていた冬用の綿入りジージャンを運んで、ポロの体に着せた。
それから、ポロが食べることのなかった夕食と水を運んで、ポロの横にいれた。
それが済むと妻と二人で、手で少しずつ土をかぶせて行った。

土は、僕らの涙を吸い込みながら、ポロを埋めていった。

土の墓標ができると、僕は、掘り出した石の中に犬の顔そっくりの石がある事を
発見し、盛り上げた土の山の上に置いた。
ポロを埋める前に外した赤い首輪を、その石の下に置いた。

二人は、店に戻り、洗物や明日の営業の準備をそれぞれ黙って始めた。
静かな店内に二人の鼻をすする音だけが流れていた。
なにか言えば、もう、我を失って泣き崩れそうなのを、必死でこらえた。
こういうとき、日常の仕事が、どれだけ、自分を失いそうになるのを助けてくれるかを
身をもって感じた。

すべてが済むと居間にすわり、ポロの登録異動届けを書いた。
「犬」のステッカーも「犬鑑札」も薬も、全く使えなかった。
夕食のときに車がウエルカムロードの入り口で止まっていたのが、ポロが事故で死んだ
時だったのだと思う。
それは、僕がポロにマッサージをしてから、いくらも時間の経ってないのだ。

ポロは、僕が夕食のため、店に入った後直ぐ、国道に向かい事故に遭った事になる。
これまで、自由に走り回っても、決して一人で行かなかった国道に
それも、僕と離れてすぐに、国道に行ったことが不思議でならない。

妻と二人「どうして? どうして?」と言って泣いた。
僕が、夕食を運んだ時刻には、もうポロは、この世に生きていなかったと思うと
かわいそうで悲しさ次から次へと、込み上げてきて、号泣してしまう。

外では強風が吹き始めた。
窓の外から、コトコトと時折、ノックするような音が聞こえてきた。
ポロが生返って、僕らを呼んでいるような気がした。
で、僕は立ち上がり、勝手口のドアを開けた。
電灯に照らされた勝手口の通路は、がらんとしていた。
いつもは、そこにポロが寝ていたのであるが…・

音のする方に行って見ると、壁に下げた温度計が、強風にあおられて、ゆれていた。

もう12時を過ぎてるから、明日の営業があるから寝ようと布団に入るが眠れない。
枕がぬれてしまったので、タオルを取ってきて、涙を拭きにした。

ポロの推定死亡時刻  2008年5月4日 午後7時20分頃

ポロの最後の写真 2008年5月4日 午後2時32分(死亡の約5時間前)
poro14.JPG

ポロとのはじめての出会い。

2008年4月8日(火)午前9時54分
nora5.JPG

2008年4月8日(火)午前9時56分
080408poro.JPG


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コメント 4

ビス

もう涙がとまりません、、、ボロちゃんマスターたちが車で帰るのだとおもって
間違って車の音のするほうへいってしまったのかな・・。
きっといちょうの樹は毎年色とりどりの葉をひとなつっこく
実らせるでしょう。ボロちゃんが天国ではしりまわってることを祈って。
by ビス (2008-05-09 09:23) 

kazenotomo

ビスさん
共に泣いていただき、ポロも幸せだと思います。
これからも宜しく!
by kazenotomo (2008-05-09 12:16) 

虹はん

風さんのブログ知りました
ポロちゃんのご冥福を心よりお祈り申し上げます

私も2月16日に15年共に生きて来たエル(犬)を亡くして深い悲しみを味わいました
この記事を読ませて頂き、新たな悲しみに号泣してしまいました
マスターご夫妻の辛さが痛いほどに伝わってきます

でもご夫妻に助けて貰って沢山沢山の愛を貰ったポロちゃんは感謝していると思います

ある方に教えて頂いた『虹の橋』を検索して頂いて読んでみてください
少しでも心安らかになられる事を祈ります
by 虹はん (2008-05-12 19:27) 

kazenotomo

虹はんさんへ
アドバイスありがとう!
『虹の橋』に早速お伺いしました。
癒されました。
そして、『千の風になって』を改めて、思い出しました。
以前、自分で和訳して、このブログに書いたのに・・・・
kazeの本棚にも、和訳本が納められているのに・・・
なにが悲しいといっても、愛するものを失った悲しみが
一番深いですね。
でも、その悲しみを糧に、より良く生きて生きたいと思います。

by kazenotomo (2008-05-14 06:39) 

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