最敬礼！：kaze日記：SSブログ

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このブログは、「カフェ＆ギャラリーkaze」のブログでしたが

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最敬礼！　[kazeの風景] [編集]

2011年4月23日（土）

朝10度、雨、時折思いだしたように日が差した。
庭の桜は、５分咲きぐらい。コブシの白い花も健在。
京都の知人、千種さんにいただいた、桜の木も花をつけた！
春雨降りしきる窓の外で桜が誇らしく風に揺れている。

「春だよ、春だよ」と招いているような気がする。
遅いkazeの春である。

来店者と桜を眺めながら、
「被災者のことを考えると心が重い」と話していたら
中年の女性が一人軽の運送車で来店した。
ナンバーを見ると、黒ナンバーで水戸になっていた。

時折、kazeには、札幌ナンバーや多摩ナンバー等の
遠隔地の車が来るが、聞いてみると転勤で京都や大阪に住んでる人だった。

で、その女性にも聞くと、何と水戸から来たと言う。
水戸に住んでいて、私も被災者だと言う。
家は傾いているが、幸い瓦が落ちてないので、助かったと言う。
ご近所は、屋根にブルーシートをかけた家が沢山あり、
まだ水道は復旧してないが、電気は何とか復旧しているらしい。

彼女の言うことには「やっと電気が復旧したと思ったら、計画停電で
東電は、被災地の水戸まで停電にした」と不満を述べていた。

配送で全国を走り回っているらしく、「この前は、大分のキャノンまで
部品を配送してきたという。
バイタリティーのある人だ。

で、今日は三重の四日市市まで仕事で出かけたが、明日は日曜日なので
Kazeに寄って帰ろうということで来店したと言うのである。
Kazeのブログの読者だと言う。
「ポロ人生の贈り物も買って読みましたよ」という。
僕らはもう、大感激！

自慢のカレーをコーヒーを飲んで、
おまけに「おいしおすえ」を2袋買ってくださった。
それは、被災者募金1,000円をいただいたことになる。
被災者でありながら、なお、ひどい被災者への思いやりだと思う。
北陸周りで帰るといって、元気に出かけて行った。
で、僕は、最敬礼！
ありがとう！

午後、平野さんが来店。
店内に生けてあるヤマブキの花を見て、

「こいつの実は、みずみずしくてほんのり甘い。
山でおやつに取って食べるんだ」という。
すかさず、妻が「ヤマブキには実がつかないんじゃない？
そら、太田道灌の話で『七重八重　花は咲けども　実のひとつだに　ならぬ山吹』ってのが
あるじゃない？」
平野さんは、怪訝な顔をして「こいつには、間違いなく実がなる」という。

で、早速、本棚から妻は、辞典を数冊引っ張り出して調べていたが
「へえ～～そうなんだ」と驚いていた。
ヤマブキにも実のなるものとならないものとがあるという。
実のならないのはヤエヤマブキで、園芸品種、

山に自生している一重ヤマブキは、実をつけるというのだ。
現に、お店のヤマブキは、一重ヤマブキ。
で、平野さんが正しいのである。

ところで、僕は、妻の言った歌に疑問。
「それ間違ってない？　歌になってない。」
「どうして？」
「５・７・５・７・７になってない」と僕。
で、今度は僕の調べる番になった。
正しくは「七重八重　花は咲けども　山吹の　実のひとつだに　なきぞ悲しき」
兼明親王の歌で後拾遺和歌集に収められている歌である。

おまけに太田道灌に対応した娘が詠ったと思っている妻だが、それも違って
この山吹伝説の内容は以下のようである。

「室町時代の武将で武蔵守護代であった太田道灌が旅の途中、
突然のにわか雨に遭い蓑を借りようと近くの農家に立ち寄った。
ところが、対応した娘が一輪の山吹の花を差し出した。
道灌は、蓑を借りようとしたのに花を出され内心腹立たしかったとかで、
後でこの話を近臣にしたところ、
それは後拾遺和歌集の
「七重八重花は咲けども山吹の実の一つだになきぞ悲しき」の
兼明親王の歌に掛けて、山間の貧しき農家ゆえ蓑（実の）ひとつなく、
お貸しすることもできないのが悲しいと奥ゆかしく答えたのではないかと
聞かされ、古歌を知らなかった事を恥じて、
それ以後道灌は歌道に励んだという。」

ということで、娘さんが詠んだ歌ではなかった。
そして、このとき出された山吹は、ヤエヤマブキだったということもわかった。
お互い大変勉強になった一日だった。

夕食は、窓辺で二人だけの夜桜鑑賞会である。

外灯に照らされた桜は、昼間とは違う幽玄な雰囲気がある。

お互いに「いいねえ」「いいねえ」といいながら食が進む。
今夜の酒も格別である。