雪と蝉しぐれと初恋と [人生]
3月12日(月)
朝零度、一日中雪が降る!
朝食をしながら、ふと電柱を見ると雪だるまが出来ていた。
自然が作った雪だるまである。
で、早速、写真に収めた。
雪は、昨日から降り続き、今朝は積雪している。
でも、お客さんは、「雪降ってるのはここだけだよ。
堅田や大原では日がさしていた。」とのこと。
やはり、ここは、別天地だなあ、と思う。
お客さんで詩吟をやってる方がいて、お店で歌ってくれた。
歌の説明や情感のこもった歌い方に、
僕の胸にこみ上げるものがあった。
機会を見て、お店でライブをしたらと思った。
秋がいいかな?
お客さんも快くやってあげるといってくれた。
ところで、3日前から読み始めて藤沢周平の「蝉しぐれ」を
やっと読み終えた。
最近、周平の作品がドラマや映画になっていて、
「蝉しぐれ」もNHKドラマと映画にもなった。
僕は、周平の描く自然描写が好きだ。
このうまさは、どこから来るのだろうと思っていたが
秋山駿氏の解説に
「これは、単なる描写ではない。日本人の心の裡にある自然の形を
描いたものなのだ。日本的な、人間の内部が抱く自然というものなのだ。」
とう言葉に納得した。
さらに、僕には「蝉しぐれ」は、初恋物語でもあると思う。
この小説の最後の章で、ふくが文四郎に送った手紙の中で
「このたび白蓮院の尼となると心に決め、この秋に髪をおろすことにした。
しかしながら今生に残るいささかの未練に動かされて、
あなたさまにお目にかかる折もがなと、・・・・」からも伺える。
初恋とは、今まで親や兄弟とも異なる赤の他人が、
自分にとってかけがえのない大事な人として、
心にたち現れる現象であると思う。
それは、真の人間としての精神の発展であり、
その人の人生の記念碑となるものであろう。
それゆえに、初恋は、心の奥深く根付き、死を前にしても尚いき続けるのだと思う。
その初恋が実らなかった恋であればあるほど、深く、強く人の心に行き続け、
「今生のいささかの未練」となるのであろう。
そして、僕の心にも、「今生のいささかの未練」が宿っている。
でも、それは、不幸なことではなく、
人間的な優しさや情感を豊かにしてくれるものでもあると思う。
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