SSブログ
訪問ありがとうございます!
このブログは、「カフェ&ギャラリーkaze」のブログでしたが
廃業に伴い現在は、新規記事はなく、既存記事を保存中です。
記念碑として、活用中なので、分け入って楽しんでいただければ幸いです!
また、兄弟ブログ『風のささやき』及び『風の詩』も是非お立ち寄りいただければ幸いです!

妻のプレゼント [人生]

2014年12月29日(月)

久しぶりに暖かないい天気なので、ご近所散歩をした。
金戒光明寺では、墓参りの方々が意外と多くいて、お墓の掃除などをしていた。
累々と墓石の並ぶ墓地の中を通り、真如堂に抜ける。
境内は、シンと静まりかえり、あの紅葉の人出が嘘のようである。
のんびりと二人でそれぞれ読んだ本の事などを話し合いながら歩くと
時間の経つのが早い気がする。

僕は昨日、梅原猛氏の『親鸞「四つの謎」を解く』という本を読み終えた。

img103.jpg

梅原氏がいう四つの謎とは、
1. 親鸞の出家の謎
貴族の長男として生まれ、将来の身分が保障されているのに、なぜわずか
九歳で出家したのか。
2. 法然門下に入った謎
比叡山でその才能を認められ、しかも慈円という実力のある僧の弟子として
比叡山での出世は、約束されたようなものなのに、当時無位無官の乞食坊主で
ある法然の門下にはいったのか。
3. 結婚の謎
 僧が公然と妻を持つというそれまでの仏教の伝統を覆す事をした謎。
4. 親鸞の悪の自覚の謎。
 親鸞が自らを大悪人と同一視するほどに「悪」、すなわち罪悪感を自覚して
いた事に対する謎
である。

私も、以前から、このことを疑問に思っていたので、梅原氏の本が出たこと
を機に早速購入したのである。
もとより私の一番の疑問は、第四の謎、悪についてであった。

読み終えて、1から3までの謎の解明には納得が出来た。氏の研究姿勢や視点
についても、大変勉強になった。
この本は、確かに氏が親鸞と同じ90歳になったことで書いた物であると言うが
そのエネルギーにも敬意を表したい!
が、第四の謎については、どうしても受け入れがたいのである。

梅原氏は言う。
"私は再三『教行信証』の「信巻」を読んだが、それはまさに『教行信証』の
もっとも重要な巻であると思った。『観無量寿経』と、浄土教以外の『涅槃経』
までも引用し、必死で阿闍世を救済しようとする親鸞の気持ちが切々と伝わっ
てくるようであった。
 阿闍世王に対する親鸞の思いやりは実に深い、その部分を語っている親鸞は、
あたかも自分が阿闍世と一体化し、自らが親殺しの悪人であるかのようである。
これを読みながら、私は思わず戦慄を覚えた。
 どうして親鸞は、これほどまでに父親殺し母親殺しの悪人を、自分と同じで
あるかのごとく感じているのか。私は何度も『教行信証』を読んだが阿闍世を
限りなく自己同一化しようとする親鸞の「悪の自覚」の深さにその度ごとに驚
かされた。そして、これはまったく異常なことのように思われた。
 このような親鸞の「悪の自覚」の深さは、親鸞の人生といったいどのように
関係するのか。"

私もそれに同感であるが故に、梅原氏の、この謎の解明には、納得がいかない
のである。
もっと別な原因があるのではという思いがこみ上げてくるのである。
で、梅原氏が、この点をさらに解明していただけるとうれしい限りである。

このような親鸞の深い「悪の自覚」は、理論の上のことではなく、親鸞自身が、
自らを制御できないほどの大きな力が、心の奥底から彼をして、揺り動かして
いるものでなくては理解できないし、納得できないのである。
それは、一体どのようなものであるのか。
これこそが、親鸞を本当に理解する上での基本ではないかと思うし、
それなしでは、浄土真宗の真の理解に必要なことではないかと思った。

ところで、ころりと話は変わるが、どうしたことか妻がクリスマスプレゼント
をしてくれた。
室内用のスリッパなんだけど、これが大変暖かい。
おまけに、彼女は、それに可愛い動物のアップリケをしてくれていた。
なんともうれしく、感謝感謝です。

IMG_8349.JPG

僕もお礼に彼女の好きな吉村昭の本を4冊プレゼントした。


この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。