春の宵!? [kazeの風景]
2013年10月14日(月)
朝8度、この秋最高の冷え込み。晴れ。昼間は妙に暖かい。
ジョンクレアのつぼみが開いたと妻は、興奮気味。
先日の花より、かっこいいと撮影した。
裏庭では、柿の葉が色づき始めた。
「テレビで見たよー!」って人が今日も来店。
藪田さんの絵を前に、在原の火災事件などについて
妻は、熱く語っていた。
そんな時、当の薮田さんが奥様と来店。
バトンタッチ!
11時から4時までたっぷりkazeを楽しんで帰った
ご婦人のグループさんもいた。
日が暮れて、庭を散歩した。
空には半月が輝き、秋の夜だというのに
春のような妙に生暖かい。
これは、明日は台風がやってくるというが、
台風の先駆けで南の風が吹き込んでいるからかもしれない。
最近読んだ吉村昭氏の作品「漂流」のことを考える。
この作品は、僕には、大きな衝撃だった。
それは、人の生き方と言うことについて、
深く考えさせられるものがある。
実際にあった事件を作品にしたのであるだけに、
そのインパクトが強烈なのだ。
絶海の孤島、鳥島に漂着した主人公、とその仲間3人、
4年間の内に次々と仲間を失い、ただ一人となり1年半
別の漂着者がやってくる。
そして、数年また別の漂着者たち。
アホウドリを食べながら生きながらえて、
仲間と苦心惨憺のうえ、船を作り、八丈島へ生還する。
その間12年の歳月が流れていたのだ。
苦難に人が出会ったとき、どういう生き方をするかが
生死を分けるということが、見事に描かれている。
特に印象的なのは、真水もなく、木さえ生えない裸の島
着の身着のままで漂着したので、火さえ使えない。
洞窟には、白骨の島で、次々に仲間を病気で失い、
ただ一人、孤独に苦しみ生きること1年半
新たな漂着者からは、長七の姿は、異様に見えた。
髪はぼうぼう、黒い体に白いアホウドリの羽をまとった姿だった。
しかし、長七からすれば、人の姿、人の声が、
神の救いのように思えたという。
長七の生き方は、なにも彼のように極限状態の時だけでなく
僕らの日々の生活のなかでも、必要なことのように思う。
僕は今、長七の虜になっているような気がする。
静かに月を仰ぎ見ながら、庭を歩き回った。